こんにちは。言語聴覚士のむぎちょこです。
言語聴覚士は、ことばの発達だけではなく、嚥下(飲み込み)の専門家でもあるんです。
今回は、お正月に見られる幼児の飲み込みにおける事故の中で、最も多いと言われる「お餅の飲み込み時の事故(窒息事故)」が起こる理由とその予防方法についてご紹介します。
お餅を喉につまらせる窒息事故は、幼児にもよく見られます
幼児にとって、お正月に食べるお雑煮は、喉につまらせる窒息事故につながるやすいので、食べるときには注意が必要です。
年末年始にはもちを食べる機会が多く、毎年12月から1月にかけてもち等による窒息事故が多くなっています。窒息事故は高齢者だけでなく、子どもでもしばしば起きています。
お餅を喉に詰まらせるのは、高齢者だけではないんですね。
幼児がお餅を詰まらせやすい理由
幼児にとって、お餅が危険なのは、以下の理由からです。
1.お餅が喉にへばりつくから
2.大人に比べて飲み込む力(嚥下力)が弱いから
3.大人に比べて喉が細いから
1.お餅が喉にへばりつくから
焼いたお餅に比べ、煮込んだお餅は、柔らかく、喉にへばりつきやすくなっています。
またへばりついたとき、大人(や小学生以上の子ども)であれば、水を飲むなど、ある程度冷静に行動ができます。
しかし、幼児の場合、今なにが起こっているかが良く分からず、もがくばかりになってしまうことも、状況を悪化させる原因になります。
2.大人に比べて飲み込む力が弱いから
食べ物を飲み込むためには、喉周りの筋肉(咽頭筋)にパワーが必要です。
幼児は、大人に比べて、咽頭筋の力が弱く、飲み込む力自体も強くありません。
幼児期に、水分を取ると、むせるお子さんがいますが、これは飲み込む力が不十分なため、水分が誤って気管に入ってしまうからです。
3.大人に比べて喉が細いから
体のサイズと同じで、幼児は喉自体も細くなっています。
そのため、お餅などがへばりつくと、気道(喉の奥)全体がお餅で塞がれてしまいやすくなり、そのため窒息する確率が高くなってしまうのです。
幼児がお餅を安全に食べるためのポイント
幼児の場合、以下のことに気をつけるだけで、喉にへばりつく(窒息する)リスクを減らすことができます。
1.煮込んだお餅より、焼いたお餅を食べさせる(お雑煮などでは、はじめから煮こまない)
2.はじめから煮込む必要のある場合は、食べる前に、料理バサミなどで食べやすい(飲み込みやすい)サイズにカットする
焼いてから入れることで、食べやすいサイズに噛み切りやすくなります。
つまり、飲み込みやすいサイズになった上で、ゴックンするので、詰まらせにくいということですね。
はじめから煮た場合は、小さくしてから口に入れるようにしましょう。幼児の場合、自分では「どのくらいのサイズにすればいいのか分からない」場合もあるので、保護者の方が、料理バサミなどでカットしてあげるのがよいですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
・煮込んだお餅より、焼いたお餅を食べさせるようにする。
・煮込む場合は、食べる前に飲み込みやすいサイズにカットする。
この2つに注意するだけで、危険度はずいぶん下がります。
幼児の飲み込みの特性に気をつけて、楽しくお餅を食べましょう。